B - Half
「なんだか、変な感じですぅ」

 だらーんとソファに伸びた穂波が呟く。

「俺も、なんでそこまでひとんちでくつろげるのか、不思議だよ」

 一応、俺は健康な男子。

 穂波も一応、可憐な乙女もどき。

 穂波の危機感はどこにいったんだ。

「やはり将来の我が家だからでしょうか。うわ、や~ん」

 寝返りを打った穂波が、くふくふ笑う。

 ぎゅーっとクッションをつぶして、自分のセリフに自分で照れてる。

 ――バカだ、こいつ。

「云ってろよ」

 そもそも、なんで家主の俺が床にクッションで座っているんだか。

 ぶつぶつ云いながらも、ついつい穂波の分もコーヒーを淹れてしまう。

 自分の律儀さが憎い。
< 44 / 218 >

この作品をシェア

pagetop