B - Half
「なんで、お前、うちの学校来たんだ?」

 感動にも似た揺らぎをごまかすように、訊いてみる。

 穂波は芝居がかったしぐさで、片目をつぶった。

「もちろん、コウヤくんに会いたかったからです!」

 自信満々のセリフに、俺は思わず吹き出した。

「嘘つけ。俺のことなんて知らなかったくせに」

「知ってましたよ。運命のひとですもん」

「なぁにが『運命のヒト』だよ。バーカ」

「ホントですよ。

 あなたに会いたくて、あたしはここに来たんです」

 にやりと、穂波が笑う。

「云ってろ」

 俺は穂波のカップに、なみなみコーヒーをつぎたした。



 ――いつの間にか、雨はやんでいた。
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