B - Half
「う~、いらっしゃいまし~」

「……お前がそれでいいんならいいや」

 上目遣いの穂波を放っておいて、客半分の店内をぐるりと見渡す。

 まず目に付いたのが、椅子。

 テーブル五つに、カウンター。

 そこに置かれた椅子は、ひとつとして、同じものはない。

 ただし、全て飴色に使い込まれた木製。背もたれはグリーン系の布。

 なによりも、どれも一度座ったら立ち上がりたくなくなりそうな、『座って』『座って』オーラを出している。

 それが、ばらばらのくせに不思議な調和を生み出していた。
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