B - Half
 おすすめのランチプレートを休憩中の穂波と食べ、コーヒーを前に読書。

 普段のトロさが嘘のようにきびきび動く穂波を、時折眺める。

「退屈じゃない?」

 ふと気付くと、傍らに穂波の母親が立っていた。

「いや、別に」

 呟いてから、これじゃあまりにも愛想なしだと付け加える。

「ここ、居心地がいいし」

「ありがとう」

 ふわふわと、ちょっと浮き世場慣れした厚みのない笑顔が、穂波とよく似ていた。
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