B - Half
「格好いいなあ、少年」

 返ってきた返答も、やっぱりからかいを含んでいる。

 精神力であがなえるなら、赤くなる顔の温度を引き下げたかった。

「名前はミキ。『水』の『季節』って書いて、水季よ。

 名前聞かれたの、思えば久しぶりだわ」

「じゃあ、ミキさんで」

 さよこ叔母の強固な教育の威力に歯がみをしながら、俺にとっては定型の会話を続ける。

 ――ああ恥ずかしい。

 対するミキさんは、少女めいたしぐさで肩をすくめ、くすぐったそうに笑ってくれた。
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