B - Half
 放課後。

 小さな紙きれを握って、俺は昼休みと同じく、屋上への階段を登っていた。

『はい、これ。あの一年に預かったわ』

 廊下側の席の女子が、くすくす笑いながら渡してくれたメモ。

 複雑怪奇に織り込まれた表には、ギリギリ達筆から外れた文字で、『果たし状』。

 開いてみれば、『放課後、屋上への出頭を請う』。

 ――そりゃあ笑いたくもなるだろう。

 情けなさ半分で、階段を上がる。

 でも、情けなさの反面はわくわくとした期待だから、始末が悪い。

 結局、穂波に振り回されている。それが嫌じゃないところが、重症だ。
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