B - Half
「お前……いや、ミキさんも――穂波も、キョウを知っていたんだな」

 はじめて会ったときの、ミキさんの奇妙な反応も、俺の思考を裏付けてくれる。

 穂波は、あいつを知っていて、だから、同じ顔の持ち主の、俺に近付いた。

 それだけのこと。言葉にすれば実に単純なお話。

 突然一目ぼれされるよりも、よっぽど納得のいく理論だ。

「コウヤくん、いますかぁ?」

 そのとき、天啓みたいなタイミングで、背中で、きしむドアの音を聞いた。
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