ひまわり
scapegoat 1






「――郁馬(いくま)。」


「っ、なに。」





いきなり呼ばれてびっくりしたって顔するけど



――呼んだの、5回目だよ?





そう言いたいのが伝わったのか、彼は"…ごめん、"と謝る。



謝罪なんかいらない。

そんなの余計に惨め。



だってその謝罪には、




『キミの声より彼女の声が聞こえた。


いま目に映っていたのは、キミではなく彼女だった。』




…そんな意図が含まれた謝罪なんか欲しくない。




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