ひまわり






「郁馬。」




郁馬の顔を見れなくて、俯きながら名前を呼ぶ。


先ほどより強めに呼んだせいか、1回で気づいた彼はきっといま、私を見ている。



ようやく彼の瞳に映れた嬉しさと、

そうしないと私を見ない哀しさが同時に胸を打った。





「…あのね、職員室に用事があったの忘れてたの。」




"だからちょっと行ってくるね"というと当然のように"ついていこうか?"と優しい声が返ってきた。





「ううん。ひとりで大丈夫。」

「わかった。早く戻ってきて。」

「……うん。」





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