魔法のチーズ・ケーキ
へぇ、
チーズ・ケーキですかと
応える僕に

教授は人差し指を立てて
ただのケーキじゃないんだよ、と
目で合図する。

「このチーズ・ケーキの
旨さといったら
この街の人間なら
知らないやつは
いない味でね。

ハックという
ケーキ屋が焼くんだが

この店には
濃厚なピスタチオのガナッシュや

口が青紫になる
甘酸っぱいケープベリーのパイとか

とにかくケーキの名品が
いくつもいくつもあるんだ」

まるで熱にうかされたように話し始める教授。

「ちょっと驚くのが
ここの看板の
チーズ・ケーキでね。

あれを食ったら・・・
もう、他のケーキは
食えなくなるほどだよ」

「へぇ・・・? 
それなら一度は
食べてみたいですが、

でも、何故わざわざ
こんな辺鄙な街
・・・っと失礼。

このような静かな街ではなく、
もっと人が買いに来る都会に店を出せばいいようなものを」
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