魔法のチーズ・ケーキ
親方がパクビティの前に差し出したのは


とろっと
茶色い蜜が挟まれた
マシュマロがひとつ。

「こんな菓子でいったい何が・・・」


ブツブツとなえるパクビティ。

しかし、その気持ち悪く腫れた口に

マシュマロが入ると・・・。

サクッという
小さな音のあとに
蠱惑的な香り

生地の快い食感に
ビロードのような蜜

極上のお酒のような
森に潜む妖精の
甘い囁きのような

不思議な味にパクビティの動きが止まる。


「・・・ガストンくん、

これは何のマシュマロかね?」


「さぁ、何でしょう?」

「キミは私を試しているのか?」


「いやぁ。ケーキ会社の社長なら

これくらいの味を当てる味覚はお持ちでしょう」


いつも葉巻を吸っているパクビティは鼻も舌もまるでダメ。


それでも懸命に
ううん、ううん。
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