魔法のチーズ・ケーキ
「旨い・・・これは旨い」

あのパクビティが
うっとり目をとじ
味わうほど

ハックのつくった
チーズ・ケーキは
完璧を飛び越える
出来だった。

フォークを刺すと
ふわっと裂けながら

口へ運ぶと
濃厚なクリームのコクに
とろけるような舌触り

ちょっぴり爽やかな
酸味がきいて
野いちごの甘酸っぱさが
キュッと口をすぼませる。


クモの糸に
からめとられた虫が
もがくのを止めるように

かみきりの雄が
恋におぼれるあまり
雌に喰われてしまうように


パクビティもまた
ハックのつくった
チーズ・ケーキの旨さに
脱力し、圧倒されて
しまったのさ。
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