RUNA戦記Ⅲ~水晶宮に眠る竜~





 全身に走る激痛に、ゲルブは倒れた。

 気力を振り絞り、刺さった剣を抜く。

 が、六本を抜いたところで、体中が悲鳴を上げた。


「くっ」


 体が、傾き、倒れた先にあった湖に、落ちていく—。


 消えゆく意識の中、ゲルブはウェストポーチに手を伸ばした。


 赤く染まったポーチから、ルナの落し物を出す。


 結局、渡せなかったな…。


 ゲルブは、それをポーチに戻した。

 心臓の音と同時に、背中と胸の傷から血が出て行く。










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