RUNA戦記Ⅲ~水晶宮に眠る竜~




「今日は、ここに一泊な!」



 ゲルブの隣でカナテがにこやかに。



 セカント通りに、ティカの叫び声が轟いた。


「私ッ、絶ッ対にッ、やだぁっ!!!」



 ティカの我が儘っぷりは相変わらず。

「じゃあ、野宿にする?」

 ルナが悪戯っぽく微笑んだ。

 野宿は、できなくはない。

 ここは海沿いの道だから、今立っている道も砂利と浜辺の砂が混じった道だ。もちろん、森の中とは違うから、虫なんていない。

 だが、耐えられないのが潮の香りである。ローマの内陸にあるマインで育ったゲルブにとって、海の香りは異臭でしかない。

「俺、野宿は反対だな」













< 21 / 222 >

この作品をシェア

pagetop