RUNA戦記Ⅲ~水晶宮に眠る竜~
「今日は、ここに一泊な!」
ゲルブの隣でカナテがにこやかに。
セカント通りに、ティカの叫び声が轟いた。
「私ッ、絶ッ対にッ、やだぁっ!!!」
ティカの我が儘っぷりは相変わらず。
「じゃあ、野宿にする?」
ルナが悪戯っぽく微笑んだ。
野宿は、できなくはない。
ここは海沿いの道だから、今立っている道も砂利と浜辺の砂が混じった道だ。もちろん、森の中とは違うから、虫なんていない。
だが、耐えられないのが潮の香りである。ローマの内陸にあるマインで育ったゲルブにとって、海の香りは異臭でしかない。
「俺、野宿は反対だな」