RUNA戦記Ⅲ~水晶宮に眠る竜~
素直じゃねェ奴。
「…登るか」
一対二だし、な。
しかし、登ってみると、ただ見ているのとはスケールが違う。この岩壁はジグザグの道がついていて、そこをカニ歩きで歩けばいいのだが、前に通った連中が崩してしまったのだろう。唯一の道は三人の中で一番小柄なイヴァンでも通るのは困難のようだ。
「ティカ、下は見るなよ」
先を歩くイヴァンが言うが、遅い。既にバカ(ティカ)は下を見ている。
「もう、やだー!こんなトコ、二度と歩かないからっ!」
ここにいる三人がそう思っていることは明白だ。先頭にいるイヴァンは、なめくじを食らったみたいに蒼白だし、ティカの目からは涙がこぼれている。
多分、カナテもそれなりの顔をしているのだろう。