ベイビー&ベイビー
第17話
第17話
「本当はずっと……内緒にしておくつもりだったんだけどな」
そういってさやかは困ったように苦笑した。
そんなさやかをじっと見つめながら、本心を話してくれるのを気長に待つ。
俺のそんな態度を見て、さやかは肩を竦めると、話さないといけないわよねぇとため息を零した。
「拓海くん」
「うん」
「私が何故、この前の月曜日に拓海くんがこれから大事なものを失うっていったのか、わかる?」
「……いや」
俺が首を振ると、さやかはあの週刊誌を自分のデスクから持ち出してきた。
そして、明日香と木ノ下涼太郎が載っている記事のページを開いてデスクに置いた。
「この記事が出回ることを知っていたからよ」
「え?」
俺が思わずさやかを凝視して見つめると、さやかはいつもの冷静な顔で頷いた。
「そして、拓海くんが川野拓海ではなく、sawaコーポレーションの御曹司、沢 拓海だってことも知っていた」
「……谷さん?」
「それに、拓海くんが明日香ちゃんのことを好きだってこともわかっていた。ただ、ご本人様は生憎自分の気持ちに気がついていなかったようだけど」
さやかは鼻でフンと笑いながら、週刊誌をパタンと閉じた。
俺の様子を横目で見た後、さやかは再び口を開く。
「明日香ちゃんが、ずっと拓海くんのことを想っていたことも感づいていた」
「……」
「で、明日香ちゃんの元彼が木ノ下涼太郎だってことも…知っていたんだ、実は」
「……どういうこと? 明日香ちゃんに聞いていたの?」
「……それは違うわ。明日香ちゃんからはプライベートなことは聞いてないし」
「じゃあ、どうして?」
俺はどうしても解せなくて、目の前のさやかをじっと見つめると、観念したようにさやかは突然携帯電話を取り出し、そこにつけられていたストラップを俺の目の前に差し出した。
そのストラップには、プラチナのリングがひとつ。
「……指輪?」
「そ、これは結婚指輪」
「……は? 誰の?」
何故にさやかの携帯に結婚指輪。
意味がわからず、俺は首を傾げて目の前のさやかを見つめると、さやかはなんてことないといった風にとんでもないことを口にしだした。
「私のよ」
「は?」
「だから、私の結婚指輪」
「え……? 結婚…?」
思考回路が追いつかなくて、ちょっと待ってとさやかに手の平を向けて止めるが、当のさやかはどこ吹く風だ。
「本当はずっと……内緒にしておくつもりだったんだけどな」
そういってさやかは困ったように苦笑した。
そんなさやかをじっと見つめながら、本心を話してくれるのを気長に待つ。
俺のそんな態度を見て、さやかは肩を竦めると、話さないといけないわよねぇとため息を零した。
「拓海くん」
「うん」
「私が何故、この前の月曜日に拓海くんがこれから大事なものを失うっていったのか、わかる?」
「……いや」
俺が首を振ると、さやかはあの週刊誌を自分のデスクから持ち出してきた。
そして、明日香と木ノ下涼太郎が載っている記事のページを開いてデスクに置いた。
「この記事が出回ることを知っていたからよ」
「え?」
俺が思わずさやかを凝視して見つめると、さやかはいつもの冷静な顔で頷いた。
「そして、拓海くんが川野拓海ではなく、sawaコーポレーションの御曹司、沢 拓海だってことも知っていた」
「……谷さん?」
「それに、拓海くんが明日香ちゃんのことを好きだってこともわかっていた。ただ、ご本人様は生憎自分の気持ちに気がついていなかったようだけど」
さやかは鼻でフンと笑いながら、週刊誌をパタンと閉じた。
俺の様子を横目で見た後、さやかは再び口を開く。
「明日香ちゃんが、ずっと拓海くんのことを想っていたことも感づいていた」
「……」
「で、明日香ちゃんの元彼が木ノ下涼太郎だってことも…知っていたんだ、実は」
「……どういうこと? 明日香ちゃんに聞いていたの?」
「……それは違うわ。明日香ちゃんからはプライベートなことは聞いてないし」
「じゃあ、どうして?」
俺はどうしても解せなくて、目の前のさやかをじっと見つめると、観念したようにさやかは突然携帯電話を取り出し、そこにつけられていたストラップを俺の目の前に差し出した。
そのストラップには、プラチナのリングがひとつ。
「……指輪?」
「そ、これは結婚指輪」
「……は? 誰の?」
何故にさやかの携帯に結婚指輪。
意味がわからず、俺は首を傾げて目の前のさやかを見つめると、さやかはなんてことないといった風にとんでもないことを口にしだした。
「私のよ」
「は?」
「だから、私の結婚指輪」
「え……? 結婚…?」
思考回路が追いつかなくて、ちょっと待ってとさやかに手の平を向けて止めるが、当のさやかはどこ吹く風だ。