夏と秋の間で・甲
「おっす。・・・・っていうか、お前なんでいるの?」



 正直な感想。



「失礼な。望巳と同じタバコを吸いに来たんだよ。ここのところ、雨続きで、学校じゃあ、吸えなかったしね。」



「別にここじゃなくても、お前の場合、部室があるだろう?」



 学校での喫煙箇所はいくつかある。



 最もポピュラーなのは、部室。その次が屋上。



 特に部室は屋根もあるし、先生の眼も遠いという強い利点がある。



 ソレゆえ、この学園では、タバコ目的でどこかの部に属している連中もいるぐらいだ。



 体育館裏なんて雨が降れば使えないような場所を喫煙場所に使っているのは、望巳と亜紀の二人ぐらいな者・・・・。



「ここがいいんだよ。」



「ふ~ん。」



 どうしてだろうか?



 そんな疑問も思い浮かんだが、これと言って尋ねる気もなれず、望巳は亜紀の隣に腰をつけると、タバコを取り出し火をつけた。



 無風の体育館裏で、紫煙が望巳の口から漏れて、真上に上がる。



 壁に寄りかかるように腰をつけて、ふと、昨日の早月さんとの会話がよぎった。



 ・・・・『望巳くんが好きなのは、太刀魚さんじゃないの?』



 大場さんが、そんな誤解をしているなんて・・・。


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