夏と秋の間で・甲
「別に、そこまでやることないだろう?」



 わざわざ噂を消すためだけに、友達との縁を切るというのも、馬鹿馬鹿しい話だ。



 人の噂も七十五日。



 そんな、古い諺を信じるわけじゃないが、そんな話いつの間にか話されなくなるに決まってる。



「そうだね・・・。良かった。」



 ん?



「何が?」



「あ、だから、縁を切らなくてすんでさ・・・。やっぱり、友達を1人亡くすのは悲しいものだよ。」



「まぁ、そのうち放っておけば、誰も言わなくだろうよ・・・大場さんには今週の土曜日に、先輩の誕生日の買い物に付き合うことになってるから、その時に話すよ。」



 先日、学校にいる時に頼まれた。



 参考までに男の意見も聞きたいそうだ。



 仮にもデートのお誘いなのだが、理由が理由なだけに、あまり喜ぶに気にはなれなかった。



「ふ~ん・・・そんなところまで、二人の仲は進展したんだぁ~。」



 亜紀のいやらしい笑み。



「何がだよ?別に、やましいことはねぇよ。」



「ど~ですかねぇ~。」



 ・・・・・・・・・なんか、ムカつく・・・・。



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