夏と秋の間で・甲
「あのな、望巳。」速人は何度目とも分からない大きなため息をつくと「基本的に男と女って言うのは別の生き物なんだよ。ましてや相手はサンマ。お前、少し自分の物差しで物事を考えすぎだぞ。」



 速人の言葉には不思議と説得力があった。



 まさか・・・・・サンマのヤツ本気で俺のことを?



「そんなこと言うな・・・。だいたい、なんで速人がそんなこと分かるんだよ?」



 素朴な疑問。



「・・・・あいつを眼で追いかけていれば自然と分かる。」



 ウーロン茶を飲みながら、つぶやく速人。



 そうだった。こいつも早川先輩同様、サンマに惚れている男の一人なのだ・・・。



「・・・・・・・さいですか。」



 そうとしか、返しようがなかった。



 望巳は新しいタバコを、箱から取り出して火をつける。



 一息ついて・・・。



「それで・・・・、お前どうするんだよ?」



 速人が話を戻す。



「何が?」



「結局、お前、大場さんとサンマ・・・・どっちをとるんだ?」



 核心を突いた質問だ。



 すぐに答えろなんて、酷な話・・・・。



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