夏と秋の間で・甲

「運動神経が良くて、手先の器用な人間は、昔から記憶力と理解力が乏しいって決まっているの!そんなことで、受験大丈夫なの?」



「ま、まぁ何とか・・・・。」



 目線をそらす望巳。



 ・・・・分かりやすいヤツ。



「なんだったら、後1ヶ月私が勉強教えようか?」




「本当か?」



「その代わり、私のことをサンマって呼ぶこと一切禁止!」



「・・・ソレは無理だ。」



「なんでよ~!?」



 そんなことがあって、二人はめでたく同じ赤塚学園に入学を決めた。



 結局、望巳と仲良くなることで、自動的にふられてしまったはずの小林速人とも仲良くなってしまったのだが、今となってはあまり気にならない。



 高校に入った私は、周りの友人や親からの勧めで、眼鏡をやめてコンタクトにし、髪形も大きく変えてみた。



 化粧や、肌の手入れも雑誌を読んで勉強して、中学校とはまったくの別人のような姿で高校生活をスタートすることになる。



 慣れない学校生活、新しい友達作り、中学校と違う部活等、苦労することもたくさんあったが、幸い、望巳や速人と同じクラスだったこともあってか、五月病ということも経験することなく、私の学生生活は順調に進んでいった。



 その頃の私にとって、望巳という存在は、数多くいる友達の一人にしか過ぎなかった。



 ソレが大きく変わったのは、ある日のクラス内での会話だった。



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