夏と秋の間で・甲
「ねぇ、亜紀は、クラスの男子の中で彼氏にするとしたら、誰がいいと思う?」



 昼休みの他愛のない質問。



 周りには、仲のいい女友達が6人ぐらい机を寄り添って、お弁当を広げている。



「え?何、突然。」



「いや、さっき授業中に真紀子と話していたんだけど、亜紀なら誰かな~と思って。」



 質問をしているのは、隣に座る山中美紀。



 最近、同じクラスの田中君と付き合いだしたのは、言わずとも知られている。



「え?・・・・誰だろう?」



 素直に返した。



「ダメだよ。亜紀は現実の男に興味ないんだから・・・。」



 迷っていると、向かいに座る綾子が声を出した。



「そっか、亜紀はクラウド様一筋だっけ?」



「うん・・・そうかな。やっぱり、現実の男よりはね。」



 本当は、そんなことはなかったのだが、そうしといた方が楽だった。



 今の自分には好きな男なんていなかった・・・・少なくともこの瞬間までは・・・。



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