夏と秋の間で・甲


「知ってる?望巳。あんた意外に女子から人気があるんだって。」



 誰も目に付かないような場所にある、体育館裏。



 望巳が中学生の頃から目をつけていた隠れ家。



 この場所があるからという理由で、望巳は進学校であるこの学校を選んだというのだから、すごいやつだと思う・・・・。



「そうなんだ・・・。知らなかった。」



 空を見上げて無表情につぶやく。



「もう少しうれしそうにしたら?」



 私は、それだけのことでこんなにも心が痛いのに・・・。



「いや・・・・だって、俺好きな人いるしなぁ~。」



「え?」



 驚いた声を隠すことはできなかった。



「だ、誰?」



 ・・・・実は、お前なんだよ、亜紀・・・・・・なんて言ってくれたら、どれだけうれしかっただろう。



 だけど、そんなことを考えた自分が馬鹿だと気が付いたのは次の瞬間。



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