夏と秋の間で・甲
「1組に大場奈津って子いるだろう?・・・最近、合同授業で一緒になってさぁ~。最近いいかなって思うんだよな。」



「そ・・・・そうなんだ。」



 ・・・・・・ズキン。



 そんな音が胸の中で響いた気がした。



 声が震えていた・・・。今でも泣きそうだった。



 どうしてか分からない・・・・。



 望巳は数多い友達のはずだった。仲の良い、異性の友達のはずだった・・・。



 なのに、この違和感は何?



「あ、誰にも言うなよ。まだ速人にしか話していないんだから・・・。」



「分かっているよ。」



 必死に笑顔を取り繕う・・・。



 瞬間、気が付く自分の心の正体。



 



 私は・・・・・・・・・・いつの間にか目の前の男に恋をしていた。





 
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