夏と秋の間で・甲
「あっそ・・・・。」



「あ、一冊いる?望巳の好きなガンダムの本も買って来たよ。」



「いらねぇよ・・・どうせ、パイロット同士が男同士で恋に落ちる話だろう?」



「BL系と呼んでよね。」



 どちらにしても、いらない・・・。



「かわんねぇだろう・・・?」



「分かてないなぁ~。その一般人には分からないところに、こだわりを持つのが「ヲタク魂」ってヤツだよ。」



 そんなの、分かりたくもない・・・・。



「さいですか・・・。」



 望巳は精一杯の呆れた声を出して、タバコをふかした。



 日の光が当たらない。熱気だけが伝わってくる、体育館裏の喫煙所。



 亜紀の6月の告白以後、二人の関係は何も変化はない。



 お互いにソレを望まなかった結果だ・・・・。



 夏休みも、時々連絡はとったりもしたが、結局バイトだ部活だとお互いに都合が合わず、これといって遊ぶようなコトもなかった。



 ただ、それでも唯一変わった部分があったとすれば、彼らの会話の内容。



 亜紀はもう望巳の前で『好きな男』の話をするようなことはなくなり、それに感化されるように、望巳も前ほどは大場さんのことを話さなくなった。



 それが、彼らの心にどのような変化を与えるかも知れずに・・・。


< 133 / 221 >

この作品をシェア

pagetop