夏と秋の間で・甲

「・・・そういえば、もうすぐ赤塚祭だな?」



 しばらく他愛もない会話を続けた後に、ふと話題に持ち出す。



 『赤塚祭』とは、文字ごとく赤塚学園で年に一度行われる文化祭行事である。



 主に中心となって動くのは、部活動や委員会であり、クラス発表の方は毎年、学生の休憩所なる程度の寂しいものとなっている。



「そうだね。・・・そういえば、望巳のクラスは何やるの?」



「俺のクラス?・・・俺のクラスは、確かフリーマーケットだったぞ。」



 みんなが適当に要らない物を持ち寄るだけでできてしまう、お手軽発表の代表格。



「うわっ、簡単だね~。」



「そういう、サンマのクラスはどうなんだよ?」



「私?・・・・私のクラスは研究発表だったかな?」



 これもまた、普段の授業風景を写真に収めたり、やったことをそのまま紙に書くだけの、文化祭ではもっとも不人気なコーナー。



「うわっ、ソレも簡単だな・・・。」



「いや、それがどうにも・・・先生がやけに張り切っちゃって・・・。」



 あぁ・・・たまにいるな。俺の担任がそういう人間じゃなくて良かった・・・。



「まぁ、多田だからな~。」



 亜紀のクラス担任、体育教師の多田先生。



 校内でも有名な熱血先生である。


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