夏と秋の間で・甲

「気にしなくたって、そのうちひょっこり学校に来るだろう?失恋なんてもんは、何日か泣けば立ち直れるもんだ。」



 断定するなよ・・・。



「失恋って、決まったわけじゃないだろう?」



 大場さんが学校に来なくなって、1週間。



 風邪という可能性だってまだ残されている範囲だが・・・。



「期待しているくせに・・・。」



「うるせぇよ。」



 速人との会話は次の授業を知らせるチャイムで中断された。



 このときは、まだ速人の冗談で済まされる話だった。



 いくら速人が何を言おうと、あいつの言うとおり、まだ心のどこかでは二人に分かれて欲しいと思っていても、実際にそんなことがあるはずないと思っていた。



 ・・・・・・・・・・・・その瞬間までは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


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