夏と秋の間で・甲
「え?」



 男のはや歩きは、同じ女性の女性にしてみれば、軽い小走りのスピードぐらいにはなる。



 だけど、今はそこまで気を使っていられない。



 とりあえず、ここから離れないと・・・



 ただでさえ、学校内の人数が増える学園祭。



 人気がなくて、のんびりできる場所といったら一つしかなかった。



 渡り廊下を通り過ぎ、上履きのまま外に出て、草むらだらけになっている体育館の横を通り過ぎたところにある、隠れ場所。



 ・・・・いつも、望巳が喫煙所として使っている体育館裏だ。



「こんなところ、学校にあったんだ・・・。」



 涙目であたりを見回しながら大場さんが驚いた声を上げる。



「汚いところだけどね・・・。慣れれば、いいところだよ。」



 望巳はいつもしているように、壁に寄りかかるように腰をかける。



 ついでに、タバコを吸いそうになったが、大場さんの前と言うことでやめておいた。


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