夏と秋の間で・甲
「そう・・・なんだ・・・。」
ゴミを避けるようにして、壁に寄りかかる大場さん。
口調から言っても、あまり気に入らなかったことが分かった。
確かに、こんな片付けられることもないゴミが地面に散らばり、日の光も当たらず一日中ジメジメしているような場所。
「・・・まぁ、あまり女性向じゃないけどね。」
大場さんの態度を見て、思わず声に出た。
と言うより、こんな場所を気に入るような女性、望巳の知ってる中では一人しかいない・・・。
「そうだね・・・。でも、今は人がいないところに行きたかったら、ちょうどいいよ。ありがとう。」
そう言って笑う大場さんは、望巳の目から見てもとても美しくて可愛らしかったが、真っ赤に腫れた瞳と、先ほど流れた涙の後が切なさを誘った。
「・・・・俺、ここから立ち去ろうか?」
せめてもの気遣い。
1人になりたいならば、自分がここにいるのですら邪魔だろう・・・。