夏と秋の間で・甲
「そうか・・・・。」



 短い返答。



「望巳って・・・・・前々から言おうと思っていたんだけどさ。」



 そこで、言葉を止める速人。



「何だよ?・・・言いたいことがあるならハッキリ言え。」



「いや・・・。お前、実際のところ大場さんのことを自分が口にしてるほど、好きじゃねぇだろう?」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 無言になる望巳。



 ・・・・・・・・・・やっぱり、気がついていたのか・・・・。



 それは、学園祭の時に喫茶店で気がついた事実。



 先輩を友人に奪われ、すごく傷つきながらも自分に笑顔を向けてくれた彼女を見た瞬間に気付かされた事実・・・・・・・・・・・。



 自分は、ずっと大場さんを好きだった・・・。



 好きだと・・・・思っていた・・・・・・。



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