夏と秋の間で・甲
「お前、昔サンマに告白されたんだろう?だったらいい加減、そんな中途半端なコトつづけてねぇで、少しはあいつに気持ち向けてやれ・・・・。」



「何で、それでサンマが出て来るんだよ?」



 心から思った。



「だって、あいつお前のこと・・・。」



 『惚れている』・・・とでも言いたいのか?



「知ってるよ。だからって俺があいつを好きにならなくちゃいけない道理はどこにもないだろう?」



 少し声に力がこもっていたのが分かった。



「そりゃ、そうだけどよ・・・・」



 速人は、タバコを一息ついて。



「でも正直な話、お前、サンマのコトどう思っているんだ?」



 手痛い質問に感じた。



 どうしてこいつは、自分の心があえて見ないようにしている部分を、えぐり出して聞いてくるのだろうか?



「・・・・・わからねぇよ。」



 そうとしか答えるコトができなかった。



 自分にとって亜紀は、今まで異性という枠の中には入ってなかった。



 それがいきなり告白されて、でもあいつが勝手に自己完結したからそれに甘えた。







 俺はまだ、サンマの告白に対して・・・・・何の答えも出していない・・・・・・。



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