夏と秋の間で・甲
「望巳くんこそどうしたの?まるで、誰かが死んだように暗い顔・・・。」



 早月さんは、本当に心配そうな顔を浮かべると、極自然に自分の隣に座った。



 ・・・・先輩とのデートはいいのか?



「だったら、誰かが死んだんだよ・・・。」



 本当のコトを言う気になれず、とりあえずウソをつく。



「ウソだ。」



 あっさり見破られた。



 当たり前か・・・。



「別に大したことをしてたわけじゃないよ。ただ、考え事していただけ・・・。」



 仕方ないから、今度は本当のことを話す。



 これ以上、つっこまれたらその場限りのウソで乗り切ろうかな・・・。



「考え事?太刀魚さんのことだね?」



 うっ・・・。



 なぜ、バレた?



「いや・・・別に・・・って言うか、どうして、そう思うよ?」



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