夏と秋の間で・甲
「あれ・・・奈津じゃん?おはよう。」



 それに対して、あっけらかんと返事を返す、早月さん。



 確かに、彼女は事情を知らないのだから、仕方ないのだろう。



「あ、おはよう、なのは。いつの間に斉藤君と仲良くなったの?」



「うん?あぁ、たまたま今日は一緒にね。家が近いもんで。」



「ふ~ん・・・でも、私たちの学校バイク通学禁止だから、気をつけてね。」



「はいはい。」



 それだけ言うと、大場さんは去っていって行ってしまった。



 別に分かっていたことではあるが、自分のコトに微塵も触れられなかったことには軽いショックなことだった。



 もちろん、そんなコトを隣の女性に悟られるわけにもいかず、望巳はムリにも平然な顔をしてスクーターのエンジンとタイヤに二重ロックをかける。



 ヘルメットを座椅子の下にあるトランクにしまって、ここからは歩きだ。



 ここまでの所要時間約1分



 なぜか、その間ずっと早月さんは待ってきてくれた。



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