夏と秋の間で・甲

「の・・・・望巳?」



 驚いた表情のサンマ。



「オッス。」



 それに対して、できるだけいつもの様子を保った声で話しかける。



 ・・・・・・・いつも、体育館裏での挨拶。



 当たり前すぎて、気付かなかった言葉・・・。



 この言葉が言えなかっただけで、どれだけ辛かったことか・・・・。



「ど、どうしたの?」



「どうしたって・・・お前に会いに来たんだよ・・・。」



「え、え?」



 あまりに混乱すぎて、言葉が出ない様子のサンマ・・・。



 それが、唯一のすきだと感じたのか、オバサンが口を挟んできた。



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