夏と秋の間で・甲
「中学の頃は、よくここで二人してタバコをふかしていたよな?」



 あの頃のように、タバコを取り出し口にくわえながら火をつける。



「うん。・・・・・覚えていたんだ。」



 消え入りそうな、弱々しい亜紀の声。



 どこか震えているのが分かる。



「まあな・・・・。」



「・・・・・・・・・・・・・ごめんね、約束破って・・・・。」



 しばしの沈黙の後に亜紀が小さく声にした。



「・・・約束?」



 何の話をしているのだろうか・・・?



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