夏と秋の間で・甲
「・・・・・・俺、とりあえず言えることは、今はやっぱりサンマのことは女として好きではないと思う。」
「うん。それは・・・・前から、分かっていた。」
泣きそうな亜紀の声。
「でもさ・・・・俺、やっぱり、お前が傍にいないと・・・・イヤだ・・・・・・。だからさ・・・・お前が他の男になびいても、誰と付き合ってもいいから、常に俺の傍にいて欲しい・・・。そして、俺もずっとお前の傍にいたい。」
「え?」
「何か、すっごくまとまってない答えだけどさ・・・とにかく、俺はお前には常に傍にいて欲しいし、俺もずっとお前の傍にいたいんだよ・・・それじゃあ、ダメか?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
瞬間、無言になった亜紀の目から零れ落ちる滴・・・・それは、生まれて始めて真正面から見つめた亜紀の涙。
「あ、イヤ・・・、ごめん。やっぱり、ダメだよな?・・・・こんな答え。」
「・・・・ううん。」
亜紀は、必死に涙をぬぐう。
そして・・・・・
「私も・・・・・私もずっと望巳に傍にいて欲しいし、望巳の傍にいたい!」
それが心からの笑顔だと分かったのは、長い付き合いからだ。
ずっと傍にいたはずのサンマの笑顔。
こんなにも、こいつの笑顔が素晴らしいなんて・・・・今まで感じたことはなかったかもしれない。