夏と秋の間で・甲
終章、それから
 中間テストも何とか乗り切り、焼き芋をやるにも手遅れな12月。



 秋はあっという間に過ぎ去り、季節はすっかり冬である。



 まだ望巳はバイク通学を続けているが、もう少しすれば雪が邪魔をしだすだろう・・・。



「はぁ?それじゃあ、望巳って、まだ言ってなかったの?」



 土曜日の授業と部活の間にある、中途半端に長い放課後。



 望巳は速人と一緒に、お好み焼き屋に来ていた。



「仕方ないだろう?・・・今更言えるかよ?」



 お好み焼きを前にして望巳は声をあげる。



 いい匂いが二人の間に漂う。



「そうか?・・・だってお前たち、もう付き合っているようなモンだろう?」



「だからって、実際に付き合っているようなやつらのように行くかよ?」



 望巳はポケットからタバコを取り出し火をつける。


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