夏と秋の間で・甲
「だから俺たちは・・・。」



「分かった、分かった。・・・とにかく、お前はさっさとサンマに告白してやれ。俺は、これ食べたらとっと行くぞ。」



「また部活か?」



 今までのサボり魔だった男が、最近妙に付き合いが悪い。



「悪いか?」



「いや・・・でもお前、最近やけに熱心じゃねぇか?」



 紫煙と共に顔をゆがめる。



「そりゃ・・・、少しはいいところ見せてポイント稼ぎたいしな。」



 ポイント・・・?



「誰の?」



 『何の』・・・と聞かないあたりで、ある程度の察しは付いていた。



「・・・・綾子さんだよ。」



 ようやく聞き取れるような、速人の小さな声。



 綾子さんとは、亜紀の友達であると同時に、速人が所属しているバスケ部の美人マネージャー。



 学園祭の時以来、人気が出ていた二人組みの中の一人だ。



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