夏と秋の間で・甲

 二人は、それから最後の玉を焼いて店を出る。



 今日一日、とても冷え込んでいたと思ったら、店に出た途端、彼らの上に雪が舞い降りてくる・・・。



 さっきまで晴れていたと思っていただけに、驚きは倍増だ。



「うわっ・・・これじゃあ、バイクで帰れねぇじゃん!」



 望巳の口から、文句の言葉が漏れる。



「たまには歩いて帰れ。運動不足青年」



 おそらく望巳のコトだろう。



 別に、自分自身はそれほど運動不足だと思っていないのだが・・・。



「ハイハイ・・・。分かりましたよ。」



 文句を言いながらも、たまには悪くないと思っていた・・・。



「それじゃあ、俺は学校に戻るからな。」



 右手を上げて背中を向ける速人。



「おぅ!」



 それに次ぐように、望巳も学校とは反対方向に進み出す。



 この雪の調子だと明日はすっかり積もっていることだろう・・・。



 月曜日からは新しい通学方法考えなければな・・・。


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