夏と秋の間で・甲
「もしかして、お邪魔だった?」



 亜紀が立ち去ってからしばらくして、速人がいたずらそうに声を出した。



「いや・・・ソレより、お前ホントに何しに来たんだよ?」




「別に、ゴールデンウィーク中あまり部活に出なかったもんでな・・・・。」



 つまり、富所先輩からまた逃げてきたのか・・・・。




「少しは、進歩しろよ。」



「お前に言われたくねぇよ。万年帰宅部。」



「うるせぇ・・・。」



 返す言葉がなかったわけではないが、返そうとも思わなかった。



 今日みたいな日は、本当に誰と話すのも億劫に感じる・・・。



 そんな望巳の気持ちを察したかどうかは分からないが、速人が唐突に空を仰いで口を開いた。



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