夏と秋の間で・甲
「悪かったな、突然呼び出して・・・・。」



 その日の放課後。早川先輩は少し遅れて公園に来た。



「いえ、部活は良いんですか?」



 やっぱり、カッコいい人だと思う。



 これで成績優秀、サッカー部のエースというのだから、詐欺もいいところだ。



「ああ、いつまでも3年の俺が仕切るわけには行かないしな・・・今日はメニューだけ伝えて、抜けてきた。」



 なるほど・・・遅れてきたわけだ。



「そうですか。ところで、今日は一帯何の用でしょうか?」



「ああ、そのことなんだけどな・・・。」



 早川先輩は望巳の隣に座ると、持ってきた缶ジュースのふたを開ける。



「飲むか?」



「いえ・・・。」



 正直に言う。



「そうか。」



 早川先輩はジュースに一口つけると。



「実は、斉藤に頼みたいことがあってきたんだ。」



 先輩が俺に頼み事・・・?



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