夏と秋の間で・甲
「いや・・・言わなくていい。お前の言いたいコトは分かる。確かに、今の俺は最低だ。でもな・・・だからこそ、お前たちに今度の日曜日に一緒に遊園地に来てほしいと頼んだんfだ。」



「どういうことですか?」



 意味が分からなかった。



 先輩がサンマのことを振り切れないことと、自分たちが大場さんたちのデートに付き合わなければならない理由の意味が・・・・。



「さっきも言っただろう・・・。これは、俺の問題なんだ。もう新しい彼女もいるのに、いつまでも別の女のことを好きなままなんて良い訳がない。俺はいい加減に太刀魚さんのことを自分の中で振り切らないといけないんだよ・・・・。」



「だから、一緒に遊園地に行って未練を断とうって言うんですか?」



「本当は二人で話せれば早いのだろうけどな・・・。向こうは、もう二人きりで会いたいとは思わないだろうし・・・・。」



 だからって・・・・よりにもよって、大場さんたちのデートに付き合うなんて・・・。



「もちろん、お前たちの金は出してやるよ・・・こんなの、完全な俺の我侭だしな。」



 切なそうな先輩の声。



 正直断りたかったが、この声が自分の判断を鈍らせた・・・。



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