夏と秋の間で・甲
「俺なんかの意見、なんの参考にもならないよ・・・。」



 素直に言ってみる。




「いいんだよ。ただ、私が斉藤君の意見を聞きたいだけ。・・・・私の周りの友達は、アイドルの早川先輩しか知らないから、口を揃えて『別れるなんて馬鹿だ』の一片通り。もう、耳が痛いよ・・・。」



 なるほど・・・。



 ならば、正直に答えなければならない・・・。



 彼女のために、本当に最良だと思える言葉を・・・。



 たとえ、それが自分にとって、望んでいない結果だと分かっていても・・・。



 望巳は、手元においてあった水を一気に飲み干す。



 そして・・・。



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