月天使
望月 由美子
【由美子side】
―――もしもあの二人が出会うことに特別な
意味があるのならきっと私が邪魔してしまった 事自体が私の過ちになってしまう―――
「お母様。私、今日怪我をしている男の子を見つけたんです。それでうちの病院へお連れしたのですが…」
今日も呑気な月はパソコンを手にする私に
話しかけてくる。
「あらそう。良かったわね。こっちは忙しいのよ。パーティーは2週間後。あなたも用意できてるわよね?」
私は仕事の事で頭がいっぱいで
月の相手なんかしてられなかった。
「はい…失礼しました…お母様。」
月が私に寂しそうな顔を向けてそっと部屋を
出ようとした。私はそれを止めるかのように
「待ちなさいっ!!どこへいくの!!」
と月に声をかけた。
すると月はドアをもう一度開けて、
私の方をちらっと見て
「散歩に行って参ります。」
と一言だけ言って出ていった。
私は少し気になった。
月のあの様子だと何かあるかもしれない…
私は電話を望月病院へとかけた。
―――プルルル…
『はい!こちら望月病院です。』
「急に電話なんてして悪いわね。私よ。」
私は携帯越しにニヤッと笑った。