月天使

―――ガタンっ!!


私は思わずテーブルを両手で叩きつけていた。

そしてギロッと月を睨み付けた。


「月、一体何が不満なの!小さい頃からお金をかけて貴方を育ててきた。私のすべてを注いできた。ピアノもマナーも勉強も…それに貴方が夢にまで見た或斗様もすべては貴方の物なのよ!」


「お母様、それが貴方の愛ですか?
私はそれは愛ではないと思います。」


私は月の少し曇った顔を見た。何でよ…

ワケわかんない…。私は間違ってなんかない!


「違うわけなんてないのよ!!」


私は黙っていられず声を張り上げた。

すると月は冷静に話を続けた。


「では聞きますが、私がいつ或斗様と結婚したいと言いましたか?確かに憧れではあります。でも婚約などしたくありません。それにっ…」


―――パチンッ…


痛く突き刺さる音がこの部屋に響いた。

私は思わず月の顔をぶっていた。


「お…お母様…。」


月の涙が大きく一つ流れ落ちた。


「お黙りなさいっ!!貴方は私の言う通りにすべてこなせば良いのよ!!」


悔しそうに月は自分の頬に手を添えて


「…分かりました…。」


と返事をして泣いた………。
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