月天使
「でわ、彼女から本日お越し頂いた皆様に挨拶があります。」
そう言って私は月にマイクを渡した。
月はやけに素直にマイクを受け取り、
会場全体の視線を一気に集めた。
「皆様。本日は私、望月 月のためにパーティーにお越し頂きありがとうございます。今日は最後までお楽しみください!!」
月が一礼して舞台を降りていった。
何でだろうか…私が見たところ、
やはり彼女の様子はおかしい…。
回りをやけにきにしていて、
いつもの悲しげな顔は見られなかった。
私はかなり不思議に思ったが
取り合えず話を進めることにした。
マイクを手に取りまたお客様の
視線が私に降り注いだ。
「でわ、続いて月の婚約者になります、或斗様から挨拶を頂きます。」
或斗様は私に一礼してマイクを取り、
私にニッコリ笑いかけた。
「初めまして。皆様、お集まり頂きありがとうございます。今夜はこんなに豪華なパーティーを開いていただけて嬉しく思っております。」
彼は私にまた丁寧に一礼して舞台を降りた。
私は彼の丁寧さに見とれてしまった。
「あ…えっと、でわパーティーを
再開します!!引続きお楽しみください!!」
会場の皆様に声を掛けて、私は舞台を降り、
月の様子を目を凝らして見ているのだ。
いつもと違う彼女の様子を…。