月天使
婚約破棄
【或斗side】
先程から何か嫌な視線を感じる…。
隣で微笑む月様のご様子もどこかおかしい気が
するのだ。
「月様、どうかなされたのですか?回りが気になるようですが…。」
そう聞くと月様は慌てた様に
「えっ…いや、何でもありませんよ。」
と嘘の笑顔をこちらに向けてくる。
月様の心は笑っていない。
「ところで或斗様はおいくつですか?」
「え?由美子様からお聞きしておりませんか?」
「はい…。」
僕はその言葉に驚いてしまった。
月様は僕に興味が何1つないのか?
月様は僕に困った顔を見せた。
何でそんなに悲しい顔をするのですか!?
「僕は14歳です。月様からみれば僕は1つ年上ですね!!」
静かな沈黙に思わず耐えられなくなった僕は
話を続けた。
するとパァッとした表情を
こちらに向けて月様は
「私の友人も14なのよ。」
と笑って見せた。
僕からみた月様はまるでずっと暗がりにいて
静かに小さな光となる月のように見えた。