月天使
「誰が反対しようと君は君の意志を貫け。言葉でならいくらでも嘘はつける。でも、心までは嘘はつけない。自分の想いを信じて突き進め!!」
或斗様は私をじっと睨み付ける。
「何が言いたいのかしらね!?」
私は少し余裕の笑みを見せた。すると或斗様は、
「由美子様…初めからこうなる事、
分かっていたんじゃありませんか?」
とその言葉で私の余裕を消し去った。
「しっ…知らないわよ!!」
そして次の或斗様の一言が
私の全ての計画を大きくうち壊した。
「僕はこの婚約を破棄します!!」
目の前が真っ暗になった。今、何て?
ねぇ…嘘よね……!?
空が泣き出した。
夜桜が騒ぎ、私の頬を濡らした。
私の目の前に2人歩く愛の形が小さく見えた。
手を伸ばすが月はもう帰ってこなかった。