月天使
「だって、あんたは下も上も見ちゃいない。見てるのは自分の歩く道だろ?やっぱりあんたは強い。力もまるで格が違う。だけど、力だけが強い訳じゃない。」
「ん?」
結大が不思議そうな顔をした。
「心だよ。心が広い。まるで、終わりの見えない海だ…。その上にあたし達4人は浮かんでる。あんたに引っ張られて皆が着いていくんだ。」
あたしは結大の顔をじっと見た。
すると結大は困った様な顔をした。
「月、本当にそう思うか?」
その顔はあまりに寂しげに見えて、
どういう事かあたしには理解出来ない。
「俺はさ、お前の気持ちに押されてるんだと思う。佳那の事助けて、皆を幸せにすんだって言い切った姿が忘れらんねーんだ、俺…。お前は本当に変わった。」
「えっ!?」
あたしが変わった!?どういう事?
「お前と出会った時はどこか寂しそうで
ずっと何かを考え込んでるようだった。」
「あ…あぁ。病院の時か。」
「でも、今は違うだろ?表情をコロロかえて、笑ったり泣いたり、色々だけど仲間がいる今、お前は回りに目を止める事が出来るようになった。」
「えっ…」
そうなのかな?
出来てるのかな…皆を見ることが…。
「俺はお前が凄いと思うよ。尊敬する。」