月天使
彼女は可愛いし、性格も良くて
男も女からも人気者だった。
俺はそんな彼女が本当に自慢だった。
そして時は流れ、夏がきた。
―――プルルル…
俺は相変わらず夏美に電話を掛ける。
『はい、もしもし?』
彼女のやわらかい声が
電話越しに聞こえてくる。
その甘い声にドキドキする。
「夏美、俺だけど今度の夏祭りの
日空いてるか?25日だけど…。」
俺は成長せず、未だに緊張で
携帯を握る手から汗をかいてる。
全く、嫌になっちまうよな…。
でも夏美はそんな俺を愛してくれるんだ。
『陸が誘ってくれるのを待ってた』
ってさ…。何て幸せ者なんだよ、俺は。
『陸、浴衣姿楽しみにしててね♪*』
「―――っ!!!?///」
『ふふっ。照れちゃった?』
ただ、声が聞きたくて何度も電話して、
一人になると寂しくて…。この気持ちを
忘れたくなかったんだ。
初めて<彼女>と呼べる人が
できて声を枯らして泣いたんだ。
――――あまりにも嬉しくて…――――