月天使
『だめっ…っく、私もう…陸にっ
…く。顔会わせらんないよっ…く。』
何だか分からないが俺は走り続けるんだ。
心から愛した人に会うために!!
「なぁ…夏美は俺の事、嫌いか?」
冷たい雪の降り続く真夜中の道路を
息を切らして走る。
『嫌いな分けないよ…好きっ…。
大好き!!離れたくないよ…陸と…
今すぐ会いたいよ…。でも…っく…。』
とても悲しい声が消えた
その時だった!!俺の足を止める
電話越しでの嫌な声が聞こえてきたんだ。
『あぁっ!!もう、ウゼェんだよ!!早く別れろっつってんだろ!!あんた死ぬの決定。』
この声は…女か?
何だか分からないが嫌な気がした。
ただ、夏美の危険が
迫っているのを感じたんだ。
「夏美―――っ!!!」
叫び続けた。そして冬が告げるフィナーレ
なんかを信じずに俺はまた、止まった
足を動かして走るんだ。
彼女と初めてであったあの場所へと…。